tsuki no kobanashi

ソプラノ 和田静乃の日々をつづります
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思い

思いは、カタチになる。
目にもちゃんと見える。


テレビ東京『和風総本家』。
あまりテレビを見ない私ですが、
この番組はすごく好き。
でも、放送日や時間を覚えてはいなくて、
昨日も、あ、やってる!と見始めました。

そして、番組の終盤で、涙…

昨日は、外国で活躍する、日本で作られたものがテーマ。

最後に登場したのは、
馬の毛を使った「漉し器」。
和食の板前さんや、和菓子職人の方が好んで使う一級品の漉し器は、すべて手作り。
一日ひとつしか作れないそうです。

何故なら…

馬の毛の網を作っていた会社が、
15年前に廃業してしまったから…

その網を、ヒノキの枠にはめ込むことを生業としていたご主人は、
ご主人を助けたい、と思った奥様と、
馬の毛を織ることができるという、
四国の女性を訪ね、
奥様は、馬の毛の織り方を学びました。

ビデオに撮って、繰り返し何度も見ながら、織ったのだとか。

そう、機織り機で、奥様が網の目を作り、
ご主人がヒノキの枠にはめ込む。
ご夫婦の手による漉し器なのです。

最初は、売り物にならない!とご主人からの厳しい言葉が飛び、
ケンカの毎日だったとか。
でも、今となっては、
一辺が0.08ミリという小さな網目が、
綺麗に揃った、しなやかな網を作ることができるように。

「今は、だまって受け取ります」

もう、ここで胸がいっぱい。


そんな漉し器。
イギリスの絵画の修復士さんたちには、
なくてはならないものになっているとか。

漉し器が??

紙の絵画を修復する際の、
糊を漉すために使われるそう。
糊を滑らかにしないと、
修復する際にヨレたり、
凹凸ができてしまい、
綺麗な仕事にならないのだとか。

ナイロンや金気の漉し器もあるけれど、
馬の毛の弾力と、目の細かさが要のようです。

イギリスの修復士さんには、
その職人のご夫婦の仕事の映像が、
反対に、職人さんご夫婦には、
イギリスで、どのようにその漉し器が使われているかの映像が見せられました。

そんな使い方をされていたとはまったく知らなかったご夫婦は、感激の様子。
そして、修復士さんたちもまた、漉し器を作る様子に興味津々。

そして、最後に、修復士さんからメッセージが。

「あなたがたのこの漉し器がなければ、私たちは仕事ができません。ありがとうございます」

それをみたご主人、目に涙をいっぱい浮かべて、
画面に向かって「ありがとう」と。

そして私も涙…

ものでも、料理でも、音楽でも、
そこに「思い」があるかどうかが何よりも大事だと思っている私。

どんなに見た目が綺麗でも、
中身やストーリーのある美しさにはかなわない。

本当に美しいその漉し器は、
職人のご夫婦の、思いのカタチ。

完成した漉し器を見るご主人の目には、
誇りが見えました。
そのものの素晴らしさを、語ってもらわなくても、
あの目を見れば、ご主人の思いが伝わりました。

素敵だな、と思うのです。
こうなりたい、と思うのです。

自分の作るコンサートに、音楽に、
まっすぐ向かって、
思いをこめて、丁寧に作って。
それを求めてくださる人がいて。
私のコンサートや、歌を聴くだけで、
私の思いが伝えられたら。

そんなことが、まがいなりにも、できるようにはなってきました。

この職人さんの作る漉し器のクォリティには、
まだまだかなわない私の歌だけれど、
いつか、自分の歌を静かに誇れるように、
まっすぐな努力を、
これからも続けたいと思います。










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