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tsuki no kobanashi

ソプラノ 和田静乃の日々をつづります
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「光の在処」

11月5日の「Music + Gallery 光と海に寄せて」、第一部のメインは、私が詩を書き、作曲家で当日のピアニストでもある加藤亜祐美さん(以下、亜祐美ちゃん)が曲を書いた組曲「光の在処」を初演いたします。このタイトルについては、こちらのブログでも少し触れましたね。



私にとって詩を書くということは、面白さと難しさが常に天秤にかかっているような作業でした。文章や詩を書くときは、最終的にどうなるかがまったく想像できていない中で始めるというのが私の常。世界観とか、雰囲気的に求めるものは決まっていても、書いてみないとどうなるかまったくわからないのです。今回も最初はこんな感じ!というイメージだけがあり、「できた!」となったときには「こんな詩になるとは…」という印象でした。


書き始めたのはこの春。奇しくも、ロシアのウクライナ侵攻が始まったところでした。コロナだけでも暗い雰囲気がある中でのこの戦争は、今もなお私たちの生活を脅かしています。無論、私たちが感じている恐怖や不安というのは、その国に生きている方達の何万分の一程度に過ぎず、軽々しく言葉にしていいものではないかもしれませんが、それでも、色々なところに影響もあり、本当に大丈夫なのかな…という気持ちにさせられています。まさか、ここまで長引くとは当初は思いもしませんでしたが、「始まってしまった」その時は、強い恐怖を感じたのを覚えています。(それはコロナも同じですね…)


そんな社会背景の中、私の歌に求められているものは何か?を考えたとき、やはり、どこかほっとできるような安らぎかなと思いました。そしてその安らぎから、少しでも光のある方へ導かれる感じ…小さな希望が見えたらいいなと思いました。


それでも言葉としては、なかなか「!」とは出てこない。でも、詩を書かなければ曲を書いてもらえない!ぼーっとしてても言葉は浮かんでこないし、とにかく、無地の紙に何も考えずにひたすらに言葉を書き連ねるところから!と始めました。


支離滅裂にめちゃめちゃに「書き殴った」と言えるくらいの言葉たち。でも書いている瞬間に「 このフレーズいいな」と思えるものがちらほら出てきました。


結果、一曲目の「檸檬」から形にすることができました。誰もが持っている個性が、無理なく自信に繋がっていく…本当の意味での生きやすさをレモンに投影させた詩になったかと思います。自分には自分の時(タイミング)があること、それは他人と比べるものではないこと、そして自分の個性を認めることの大切さ…そんなことを詩に込めてみました。一曲目ということもあり、これから始まる、という雰囲気のある清々しい詩になりました。


二曲目「ひかりのうた」は、初めからヴォカリーズ(歌詞のない歌)にするつもりでした。作曲の加藤亜祐美さんが光のオノマトペで歌うことを提案してくださり、「らんらん」で歌うことになったのですが…明るく、軽やかで、なんとも可愛らしい作品に仕上げてくださいました。


そして、終曲の三曲目「月の鏡」。
終曲だからこそ、優しさと穏やかさの中で、未来に小さな希望を持てるような詩にしたいと思いながら、まったく言葉が出てこず、困り果てました。そんな時、雨戸のシャッターを閉めようと窓を開けて空を見上げると、高く遠い空に小さな月が出ていました。そのとき、暗闇の中で光を見出したような気持ちになり「これだ!」となったのです。
明日は来るから大丈夫、と月が優しく歌っているようなそんなイメージが湧きました。


私自身、周りの方々に「太陽みたい」と言って頂けることが多いのですが、それだからか、月への憧れが強いように思いますし、そこを求めることで自分のバランスを取っているような気がしています。
今回、そういう意味でも、「光の在処」の三曲は、自分の中の光のバランスを詩と曲で表したような、そんな雰囲気になりました。


加藤亜祐美さんが付けてくれた音は、とても馴染みやすく、また私の言葉のニュアンスをしっかり受け止めてくれていて、歌いづらさを感じることなく歌えています。おそらく、私のオリジナルの代表作になるかと思いますが、これから私が年齢を重ねても、丁寧に歌っていきたいと思える作品にしていただけたこと、とても感謝しています。


是非、その初演を、皆さんに代官山で見守っていただきたいと思っております。
お待ちしております!











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