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tsuki no kobanashi

ソプラノ 和田静乃の日々をつづります
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光と海に寄せるまで②

続きがなかなか書けずにおりましたが…(光と海に寄せるまで①をお読みでない方は、そちらからお読みいただけたらと!)エルガーの「海の絵」を小島さんに賛同していただいたものの、本当にそんなにアカデミックでコアな作品を猿楽祭の演目にするためにどうしたらいいか、真剣に考え始めました。


「海の絵」は5曲から成る歌曲集ですが、全曲通して演奏したいという思いがありました。5曲はすべて違う詩人(2曲目は、エルガー夫人による詩で唯一のラブソングです♡)ですし、5曲の内容を繋いでいるのは「海」というテーマだけ。「組曲」ではなく「歌曲集」となっているのは、そんなところからかと思います。しかし、エルガーのつけた音、音楽は、確実に全曲演奏を基盤においた作曲で、第1、3、5曲はスケールが大きく、第2、4曲は少し軽めというか、シンプルな曲になっています。詩の内容もそれにリンクしていて、全曲演奏するからこそ、それぞれの魅力が最大限に発揮される、そんな感じがするのです。


全曲で25分。詩は英語…
もうこれは、字幕を作り、詩の朗読を曲間に入れるというやり方で、その内容を少しでもわかりやすくしなければと思いました。①でも書いたように、絵の効果は絶大ではありますが、それだけでは届かない気がしました。


最終的に、冒頭と、第3曲と第4曲の間に、小島さんによる英語詩の朗読と、私が訳した訳詩の朗読を一部挟むことにしました。それが、どうやらとても効果を発揮したらしく、最終的に、朗読も含めてひとつの形になったように思います。


訳詩、といえば、英語からずいぶん離れていた私が、訳詩に挑戦しました。字幕を作るための訳詩だったので、訳詩、というより、「和田静乃による解釈詩」と言った方がいいかもしれません。
よく読めば理解できても、パッと理解できる言葉でなければ、字幕にする意味もないと思ったのです。話し言葉ではなく、詩である以上、映画の字幕とは違った要素がなければいけないはずですが、そこは、私の「解釈詩」ということで、進めました。できるだけ、詩的な日本語を使い、わかりやすくしたつもりです。


でも、その作業が本当に大変でした…
英語が話せる友人に手伝ってもらっても、彼女でもわからないというところが沢山。詩を解釈するって、母国語でもストレートにはいかないことがありますから、外国語ではさらに難しいということだなと強く感じました。


最終的には「きっとこういうことだ!」とこじつけた部分もありますが、たくさんたくさん考えることにより、これはもしや、こういうことなのでは…!と自分の中で光となった詩もあり、やはり、英語であろうと日本語であろうと、言葉って魅力的だと思いましたし、そこにないもの、見えないものを想像することの面白さを思い出させてもらったような気持ちでした。


最終的に、その字幕と小島さんの絵とが一緒にプロジェクターに映し出されましたが、その言葉と絵とのマッチングがよかったと、とても好評でした。当日プロジェクター操作をしてくれた河端夏紀さんが、私の原稿をもとにデータを作ってくれたのですが、そのセンスにも助けられました。






今、振り返ってみても、本当に「歌いたい!」という思いだけで、最後までよく頑張ったなと思います。この歳で、汗、25分分もの新しい詩、それも歌い慣れない英語を覚え、歌唱に繋げたことは、本当によくやった!と自分に言ってあげたいですし、それより何より、その私の思いに協力してくれた小島さんはもちろん、奏者の3人、チェロの野村奈美ちゃん、クラリネットの篠塚恵子ちゃん、ピアノの加藤亜祐美ちゃんの音作りの素晴らしさと言ったら…!


その音作りについては、また改めて。(まだまだ続きます!年内に終わらせるつもりだったのに…無理っぽい…)

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